NKT細胞標的がん免疫治療
NKT細胞標的がん免疫治療は、がん患者自身のNKT細胞を標的とし、それらを活性化することを目的にした治療法です。
患者自身の末梢血から抗原提示細胞を分離して細胞加工施設でNKTリガンドとパルス培養したものを自己細胞製剤(再生医療等製品)として患者に静脈内投与します。(iPS細胞などから抗原提示細胞を誘導し、NKTリガンドをパルス培養して作製した他家細胞製剤の研究開発も進められています。)
NKT細胞標的がん免疫治療のメカニズム
NKTリガンドを提示した抗原提示細胞が投与されると、体内のNKT細胞がそのリガンドを認識し、インターフェロンγ(IFN-γ)などのサイトカインを大量に産生することで他のがん免疫細胞群を活性化します。(アジュバント作用)
- 自然免疫系のNK細胞や獲得免疫系のCD8T細胞(キラーT細胞)などのエフェクター細胞群を活性化することでがん細胞を攻撃します。
- NKT細胞により強力に活性化された他の免疫細胞の一部(セントラルメモリーやエフェクターメモリーなどの記憶T細胞)は体内に残存し、長期免疫記憶を形成することにより、持続的に、がん細胞を攻撃します。
- 未成熟な樹状細胞に作用し、成熟化を促進することで免疫不全状態になっているがん患者の免疫機能を回復させます。