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テクノロジー発明者からのメッセージ

理化学研究所 科技ハブ産連本部 創薬・医療技術基盤プログラム
臨床開発支援室 客員主管研究員
谷口克

2017/8/25

私が、千葉大学医学部免疫学教授に就任して間もない頃に、第4のリンパ球であるNKT細胞を発見し、米国免疫学会は、この発見に対して免疫学の新しい分野を拓く重要な発見として“免疫の金字塔”(Pillars of Immunology)に認定しました。発見から約30年を経て、漸く「NKT細胞標的がん治療」を治療法として政府の承認を受けるための作業を開始する運びとなりました。
「NKT細胞標的がん治療」は、現在行われているがん免疫療法とは異なる新しい概念のがん治療です。すなわち、多くのがん治療が、「がん細胞を標的」とした治療であることに対し、「NKT細胞標的がん治療」は、「患者本人の免疫系を標的」とし、がん細胞を攻撃するあらゆる免疫細胞群を活性化し、がんに対する長期免疫記憶を作り、持続的にがんを攻撃する治療であるため、既存のがんを標的にした治療法では対処することが難しい、常に新たに出現する「変異したがん細胞」に対しても対処が可能となり、がんの進行・再発・転移を防ぐことができるのです。
NKT細胞は全ての人に共通であることから、誰にでも治療が可能であり、さらに、患者免疫系を標的にしているため、どんな種類のがんにも等しく効果が期待できます。実際、先進医療Bに認定された「進行肺がんに対するNKT細胞標的がん治療」の臨床試験では、余命4.6ヶ月の方々の生存期間が18.6ヶ月に延長し、その内60%の方々は、初回治療だけで生存期間を31.9ヶ月に延長させることに成功しました。さらに、進行肺がん治療後1年目の全生存率は、初回治療を受けただけで、その後無治療でも78%の方々が生存され、著しい有効性が確認できました。さらに食道がん、咽頭がん、喉頭がん、黒色腫、上顎がん、口腔がんなど、他のがん種でも有効性を確認することができました。
本年度末に開始予定の臨床治験「新規リガンドを用いたNKT細胞標的がん治療」は、新しい化合物(新規リガンド)と新規に発見したリガンド提示細胞を用いて加工・製造する細胞製剤をワクチンとして使用する治療です。この「新規リガンドを用いたNKT細胞標的がん治療」は現在、慶應大学拠点AMED(日本医療研究開発機構)橋渡し研究戦略的推進プログラムに採択され、株式会社アンビシオンの協力を得て、3者共同開発事業として、早期に皆様にがん治療薬としてお届けする使命を担っており、私達は、この夢の実現に向けて努力してまいります。

谷口 克

谷口 克先生

理化学研究所 科技ハブ産連本部 創薬・医療技術基盤プログラム
臨床開発支援室 客員主管研究員

1974年 千葉大学大学院医学研究科修了
1980年 千葉大学医学部教授
1996年~2000年 千葉大学医学部長
1997年~1998年 日本免疫学会会長
2001年 理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター初代センター長
2005年~2008年 日本学術会議会員
2013年より 現職
主な受賞
1977年 エルウィン・フォン・ベルツ賞
1995年 野口英世記念医学賞
2003年 上原賞
2004年 紫綬褒章
2016年 瑞宝中綬章

1986年NKT細胞唯一のVα14抗原受容体を発見、1990年生理条件下でクローン性増殖するNKT細胞を発見、この発見に対して、米国免疫学会は、免疫学の進歩に貢献したとして“Pillars of Immunology”の一つに選んだ。1997年NKT細胞リガンドが糖脂質であることを発見。同年NKT細胞欠損マウスを開発。Nature、Scienceをはじめ400編以上の論文を執筆。